彼が戻ってくる
待ちわびたあの人が
誰よりもそれを望んだ人のために。




【向日葵は咲き誇る】











「どーしたんですか?お館様らしくないですよ?」
「あー…そうかぁ?」
「わかった…暑さにやられたんでしょ?」
蝉の鳴く鳴く夏盛り、久々に偵察から帰ってくると縁側でうなだれている君主に茶々をいれてみる
「だっての、暑いんじゃもん」
「でも、ゆっきーは清々しいって言ってましたよ?」
「あいつは馬鹿じゃから。」
冷たい場所を求める猫のようにゴロゴロと移動をする

「お…お館様ぁー!!!」
噂をすれば何とやら…慌てて走ってきたのは俺の今の主、ゆっきーこと真田幸村だ。
「なんじゃい。」
お館様は愛用の青い扇子を閉じ、ゆっきーに向き直る。
暫く息を整え、落ち着いた所でお館様に報告した。
「父殿の墓前から…向日葵が生えておりました!!」
「何…!!」
今までだらけていた顔は一変し、真剣な表情になる。
そう、彼の父親は


真田昌幸


「やっと…戻ってくるのか…」
あれから17年、一時も忘れた事は無かった。
半信半疑で彼を待ち続けた
一言、大馬鹿者と言ってやりたい。
「でも、どこにいるんでしょう?」
「…さあなぁ…」
「なんですか、その間抜けな声」
久々の佐助の突っ込みが軽く胸に刺さる。
確かに、意気込んではみたものの、何処にいるか何て分からない。

「誰をお探しですか?お館様」

「誰って昌ゆ……」

暫く考えて、声に振り返る
「昌幸!?」
皆も驚いた様子で彼を見つめる
あの時と寸分も違わぬ彼がそこに立っていた。
「父殿…」
「見ぬうちに大きくなったな…幸村…」
「もう二度と、お会いできぬ者と思うておりました。」
うっすらと幸村の目に浮かぶのは涙
幼い頃に父がいないというのは、とてつもなく寂しいものなのだろう
「佐助も…変わらないようだな」
「昌幸様も相変わらずで。」
佐助は成長したが昔と変わらぬ光景がある。
それが、こんなにも安心するものだと初めて知った。
「お館様」
「よう戻ってきた、昌幸…」

感謝したい
これからずっと


向日葵は再び天へと顔を向ける